まず、カジュアルにシンプルさはつきものですが、アバクロにはそれがあまり当てはまりません。アバクロは、ボディラインが強調される小さめのつくりで、シンプルというより、セクシーで可愛い。ちなみにこの「セクシー」は、決していやらしい感じの「セクシー」ではなく、あくまで健康的な、身体の美しさや若さを最大限にアピールできる、健全なセクシーさだと思います(着る人、着方、見方にもよりますが)。
上半身を覆う洋服に関して言えば、「だぼだぼ」とか「ゆったり」したものはあまりなく、ほぼすべてがタイト・フィット。胸元も、大きくあいているもの、もしくは、ボタンであき具合を好きに調整できるものが多いです。VやUネックのあき具合は、
その他カジュアル・ブランドよりも、より広く、大胆です。
また、生地は薄手のものが多いので、着ぶくれることなく、 いか様にも重ね着を楽しめます。シンプルながらも、レースやビーズが可愛くあしらわれたキャミソールのラインナップも豊富。そして、一見シンプルに見えるキャミソールやTシャツも、着てみればやっぱり他のカジュアル・ブランドとは、違うことが分かります。
パンツやジャケットなんかは、ちらりと見える(花柄で、優しくくすんだ色だったりする)フェミニンな裏地が、これまた可愛い。色はカジュアルらしいスタンダードなものですが、決して「つまらない色」ではありません。ラフになりがちなカーゴパンツも、柔らかい生地に、シルクのような光沢感のある長いリボンが腰にまかれていたりして、やっぱりどこかが可愛いのです。
広告やカタログから植えつけられるイメージの影響も大きいと思います。写真を撮っているのはカルバン・クラインの広告を手掛けた超人気フォトグラファー、ブルース・ウェーバー。モデルはいずれも若く、個性的な美しさよりも、万人が「美しい」と感じる、典型的な美人、美男子を起用。実際に店舗で働くスタッフたちも、カタログから飛び出てきたような美人、美男子が多いです。その理想的な美の世界に洗脳されているわけではないですが、アバクロンビー&フィッチがさまざまな物議を醸しても(例えば雇用差別など)、その洋服は変わらず、カジュアルにもかかわらず、セクシーで可愛いのです。
アバクロンビー&フィッチ ナビ ― 知る人ぞ知るアバクロの実態とは ―
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